DESIGN+

アメリカデザイン留学記

MITのデザインプログラム?

僕は、MITで今年の夏からスタートするIntegrated Design & Management (IDM)という修士プログラムに留学します。

 
MIT / Integrated Design & Management

idm.mit.edu


 
この謎に包まれた新設のプログラムについて、少し紹介したいと思います。
*渡米前で不透明な部分が多いので、僕の私見も混じっている前提で読んでいただけると嬉しいです。
 

 

WHAT?
どんなプログラムか?
 
公式ページには、以下のように書かれています。
 
Integrated Design & Management (IDM) is dedicated to enabling the learning and development of extraordinary, innovative leaders who will bring new levels of creativity, vision, and integrity to business and society. 
 
説明会などで話されていた内容も含めると
 
「デザイン、エンジニアリング、ビジネスの領域を横断/融合し、ビジネスや社会にイノベーションを生み出す新世代のリーダーを育成するプログラム」
 
といったイメージです。
デザインプログラムというよりは、「デザインも学べるプログラム」と言った方が正しいのかもしれません。
 
 
WHO?
どういう学生が学ぶのか?
 
学生は約15名の実務経験者。デザイン、エンジニアリング、ビジネスのバックグラウンドを持つ学生が均等になるように選抜されるようです。2015年入学の学生にはまだ会えていませんが、メーリングリストでの自己紹介によると、「メカニカルエンジニア」「医療系ビジネスコンサルタント」「インダストリアルデザイナー」など様々な職種の人がいます。アメリカ人が多いようですが、パキスタン、インド、南米、そして日本(僕)などアメリカ以外からの留学生もいるので、結構多国籍な感じになるんじゃないかと思っています。
 
 
HOW?
どういうカリキュラムが提供されるのか?
 
デザイン、エンジニアリング、ビジネスの3分野をバランスよく学ぶことが求められており、デザイン以外にも、MITのSchool of EngineeringやSloan school of Managementが提供するクラスを必修/選択で受講することになります。デザインに関しては、外部の大学とも連携してクラスが提供されるようです。
 
Integrated Design Lab(通称ID LAB)というスタジオで、デザインのコアカリキュラムが提供されます。毎週火曜日と木曜日に、様々な授業と実習、そしてゲスト講師によるレクチャーなどが昼から夜まで行われます。プロジェクトベースの課題についても、このスタジオで作業や話し合いを行うことになるので、最も長い時間を仲間と過ごす場所になります。初年度のプロジェクトでは、立案した製品を100ロット製造して、実際に売るという機会が提供されます。起業に近いプロセスの中で、ビジネス全体を俯瞰できる貴重な体験になると思います。また、自分のバックグラウンドと異なる役割でプロジェクトに参加することで、分野横断的思考を鍛えるという話も聞いています。
 
 
WHEN?
どういうスケジュール?
 
最初に紹介した通り、2015年の9月からスタートします。アメリカ国外の出願者は1月に出願する必要がありました。公式に発表されたのが2014年9月だったので、今考えるとよく出願が間に合ったなぁと思います。13ヶ月か21ヶ月のコースが選択できます。(僕は、21ヶ月のコースを選択しました。)
 
 
WHERE?
いったい何学部?
 
最近よく「メディアラボ?」と聞かれるのですが、違います(笑)
 
MITのSloan school of Management (通称Sloan)の中のひとつのプログラムになります。このSloanという組織の中には、MBAなどのビジネス関連のプログラムが複数存在しています。例えば、System Design & Management(SDM)というエンジニアリングとビジネスの分野を統合するプログラムもその1つです。そのSDMの姉妹プログラムとして、デザインも含む分野横断型プログラムとして設立されたのがIDMです。
 
MIT Sloan School of Management

mitsloan.mit.edu

*2015年7月現在は、まだIDMはウェブページに追加されていませんが、今後追加されると思います。
 
しかし、カリキュラムで紹介したID LABというスタジオは、Sloanのメインの校舎とは異なる場所にあります。スタジオがある建物には、3Dプリンターやレーザーカッターなどが使える、いわゆるMaker Spaceがあり、モノづくりに重要な「まずは試してみるという」というプロセスが円滑に実行できる環境が提供されます。
 
 
WHY?
このプログラムがなぜMITに作られたのか?
 
IDMは、Product Design & Development (PDD)という学部や大学を越えたジョイントプログラム(学科ではなく授業として提供されていたもの)が修士課程のプログラムとして進化したものです。
 
PDDは、デザイン教育で有名なRhode Island School of Design(RISD)とMITが連携して提供されていたプログラムで、工学を学ぶ学生、ビジネスを学ぶ学生、そしてデザインを学ぶ学生がチームとなり、製品開発プロセスの一連の流れを学ぶことができるものです。
 
このデザインとエンジニアリングとビジネスの融合を目指した試みは、20年以上前から行われているそうです。その中で蓄積された経験や方法論から新たに修士プログラムとして開設されたのがIDMです。
 
プログラムディレクター(学科長的な人)のMatt Kressyは、MITとRISDのジョイントプログラムを運営していた教育者であり、RISD出身のデザイナーでもあり、自分の会社を経営している起業家でもあります。
 
元々、MITにはメディアラボなどの分野横断型の組織や活動が多く存在しており、融合文化みたいなものがある気がしています。そんな中で、デザインという分野にも焦点を当てる形で新たにIDMが作られました。
 
 
渡米後に改めて紹介できればと思っています。